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おたかさんちのピアノ

このピアノは
1993年、セラヴィにそっとお嫁に来ました。

戦後まもなく生まれた、河合の小さなピアノ。
気がつけば、もう半世紀を越える時を歩いています。

このピアノは、昭和2年から(西暦1927年)作られたもので
「アップライトピアノ昭和型」と呼ばれています。

古くなった弦は、
この子のためだけに特注で作っていただきました。

手のかかる仕事もたくさんあったはずなのに、
調律師さんは、まるで古い友だちに再会したように
嬉しそうに向き合ってくださいました。

このピアノは、
「カワイ歴史資料室」に置かれているものと
同じ型なのだそうです。

派手ではないけれど、
どこか懐かしく、あたたかみがあって、
弾く人の心をそっとくすぐります。

このピアノのふるさとは、
昨日のブログにも登場した
「おたかさん」のお家。

私が長いあいだ尊敬している、
大切な女性のお一人です。

昔、彼女のお姉様がドイツからオルガンを取り寄せたとき、
海を渡る途中で水浸しになってしまい、
その代わりにやって来たのが
このピアノだったそうです。

ものにも、人にも、
巡り合わせというものがあるのですね。

おたかさんとカワイピアノとのご縁。

そしてセラヴィとのご縁。

おたかさんの家では、
お子様たちも大きくなられ、
このピアノは
奥の少し暗い廊下の片隅に、
ひっそりと置かれていました。

静かな廊下で、音もなく時を重ねていたピアノ。
誰かに呼ばれるのを待っていたのかもしれません。

おたかさんと出会ったのは、
セラヴィを始めて間もない頃。

まだ長瀞に、ひとりの友人もいなかった管理人に
彼女はたくさんの素晴らしいご縁を
運んできてくださいました。

そのご縁は、今も続いています。
そしてきっと、これからも。

昔のおたかさんの家のピアノの姿を知る仲間たち

このピアノは、
音を奏でるためだけではなく、
人と人のあいだに流れる
やさしい時間をつないできたように思うのです。

皆様もセラヴィにお越しの際は、
ぜひ蓋をあけて、
やさしい音を奏でてみてください。

半世紀を越えてきたこのピアノが、
きっと静かに応えてくれると思います。

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