夕暮れが近づくころ。
おしろい花は、「待っていました」と言わんばかりに
ぱっと花を開きます。
「こんなに華やかな花だったかしら」と思うほどの鮮やかな色に、
毎年同じように驚きます(笑)
だってね。
おしろい花は
見てきれいという観賞用の花ではなく
別のふたつの楽しみがあったからです。
まずは落下傘。
今はパラシュートというのかしら。
きれいに咲いている花を、
下のほうからそっと摘みます。
花の根元を指で押さえ、
まだ緑色の種を慎重に引っぱると、
花びらにつながった糸のような雄しべが、
すーっと伸びてきます。
種のまわりについている余分ながくや葉を取り除き
緑色の種だけが見えるようにします。
その種が、大事な重りになります。
茎をそっともって
一気に空へ放り投げます。
すると
くるくる、くるくる。
小さな落下傘になって
風に乗りながらゆっくり降りてきます。
「もう一回。」
何度飛ばしても飽きることのない、夕暮れの遊びでした。
そして、花が終わる秋。
青かった実は、つやつやとした黒い実へと変わります。
女の子たちは、
いつの間にか知っていました。
その実を、歯で慎重に割り、
中から現れる、真っ白な粉を
すこし大人びた風に顔に塗っていました。
「おしろい」のようだから、
「おしろい花」という名前が付いたそうですが、
その当時の女の子たちは、
みんな当たり前のように「おしろい花」だと知っていました。
よくよく考えると、
小さな黒い実の中に、
こんな白い宝物が隠れていたなんて。
植物にも、昔むかしの子どもの想像力にも、
今さらながら感動します。
おしろい花を見るたびに、
子どもの頃の夕暮れが
心の中へ帰ってきます。
もしセラヴィの散歩コースで
おしろい花を見つけられましたら
どうぞ花だけでなく、
秋の黒い実にも目を向けてみてください。
もしかしたら、小さな白い宝物と一緒に、
懐かしい思い出まで顔をのぞかせてくれるかもしれません。
むかしの女の子へ
少し早めの秋のお便りです(^_-)-☆
セラヴィ梅雨のしつらえ18